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略 歴Lun Gywe (ルン・ジゥェ) 略歴
1930年生まれ
Art institute of Teacher’s Training(1954)
U Thet Win, U Chit Maung, U San Win, U Thein Han と U Ngwe Gaing に師事
Eastein Art in the People’s Republic of China(1964) に留学
Restoration of painting East Germany(1972) に留学
State School of Fine Arts, Yangon 講師(1958-1979)
State School of Fine Arts, Yangon 校長(1977-1979)
ラングーン大学 Fine Art association 講師(1960-1979)
ヤンゴン外国人会 絵の講師(1990-1997)
Gem Emporium 年間展示(1980-1989)
Buddhistic Museum (Shwedagon Pagoda)において2部屋に作品を制作(1990)
Visit Myanmar Year Logo 委員会委員(1996)
Asian Painting’s award 選定委員(2004)

展覧会Art House (シンガポール) Myanmar Arts の香り展覧会 2006年10月
ミャンマー国立博物館 個人展 2000年1月24日-2月2日
Emerald Hill Studio 個人展 (シンガポール) 2000年12月
ミャンマー中央組織主催 ミャンマーアート展覧会
ミャンマー伝統的な画家たちと画家たち(2002)
Htan Yeak Nyo Gallery ‘ルンジゥェの家族展覧会’ マンドレ(2004)
Thavibu Gallery (タイ・バンコク)アート展覧会に出品 2004年2月
Thavibu Gallery (タイ・バンコク)個人展 2005年4月23日
Artist Life Art Gallery (ヤンゴン) Diamond Jubilee 展覧会 2005年12月
Grand Mee Ya Hta Yangon (ヤンゴン) Blossoms of spring 展覧会 2006年
Tradition & Modernity in southeast asian art 展覧会 2006年6月12日-7月15日
Asian Fusion Gallery (ニューヨーク・アジア文化センター内)

美術館所蔵国立博物館(ミャンマー・ヤンゴン)/国立美術館(マレーシア)/シンガポール美術博物館(SAM)他、アメリカ、日本、韓国、インド、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、タイ、ドイツ、イギリス、中国、カナダの美術館で所蔵

ルン・ジゥェ倶楽部レポート
第11回 ルン・ジゥェ倶楽部レポート(2019年5月30日配信分)

ベトナムアートが火を噴く!

ルン・ジゥェの日本での個展が近づいてきました。7月中旬より、銀座において、2回目の個展が開催されます。今回の個展こそは、日本に来ると断言していたルン・ジゥェですが、89歳の高齢で現在の健康状態を鑑みるとだんだん弱気になってきているようで、5月のヤンゴン訪問では、息子さんから、今回の日本訪問も難しいかな?と弱気になっているというお話をお伺いし、やはりヤンゴンから日本は遠いなと改めて感じることになりました。

年初は、一緒にご飯を食べながらあれほど日本が楽しみだと言っていたのに、そのあと、頭痛や目眩に苦しんでいるようで、無理をしないほうが良いという判断に傾いているようです。

さて、5月末と言えばクリスティーズ香港のスプリングセール、5月最終週に香港のワンチャイにあるコンベンションセンターで開催されます。

今年のクリスティーズは、例年増加している欧米のオールドマスターからコンテンポラリーのビューイングが更に強化されていて、今年はロスチャイルドコレクションというロスチャイルド家の家に飾ってあったアート作品の数々が並んでいて、ご一緒した若きコレクターは、ロスチャイルドの陰謀とか世界征服とか、色々と都市伝説は聞いていたけど、本当にあるんですね」と妙に感心していたのが印象的でした。

明らかに欧米のオークションハウスは、今、中国の富裕層を含め、アジアの富裕層が、欧米の作品を本格的にコレクションし始めていることに、これからのアジア戦略の重要な位置付けにしているようです。

そのような中、クリスティーズは2008年以降、一貫してコツコツと、アジアのアート作品を紹介し続けています。21世紀は世界の工場としてアジアが大きく経済成長する重要な地域として、それぞれの国の有力な作家を継続的に取り上げて、市場形成を行っています。

もちろん、ミャンマーといえば2007年以来、クリスティーズは一貫してルン・ジゥェをその中心的な現存作家として出品し続けて、記録を残してきています。

そして、この2019年の春の陣は、ベトナムが火を吹きました。数年前からベトナムのLe Phoという2001年に亡くなった物故作家の作品を中心に、値段が急激な上昇を開始し始めました。お分かりのことと思いますが、ベトナムが中国に変わる世界の生産拠点として、多くの他国生企業が中国からベトナムに移し始め、ベトナム経済が大きな飛躍を見せ始めた頃からと一致します。オークション結果を見て見ましょう!落札価格

落札価格Lot 106 Le Pho 320万香港ドル(4480万円)
Lot 107 Le Pho 900万香港ドル(1億2600万円)
Lot 108 Nguyen Phan Chanh 280万香港ドル(3920万円)
Lot 109 To Ngoc Van 750万香港ドル(1億500万円)
Lot 110 Luong Xuan Nhi 380万香港ドル(5320万円)
(2019年クリスティーズ香港春季オークション結果より)

と、数千万円級は当たり前、1億超えも出てきています。上の金額は、落札価格だけの金額ですので、これらの金額に20-25%の手数料を加えた金額を落札者は払うことになります。

ミャンマーも毎月ヤンゴンに行く度に街の風景が変わります。開発はとどまるところを知りませんが、まだまだ、社会インフラがしっかり整備されているとは言い難い状況です。5月のヤンゴン訪問でも、ミーティング中に2時間程度の停電が二回もありました。

ミャンマーの人に言わせるとそれは計画停電だとのことですが、それでも真夏の35度を超えるヤンゴン市内で、停電してエアコンの効かなくなったミーティングルームで汗をダクダク流しながら、真っ暗な部屋に携帯のランプでミーティングを続ける様は、東京にはない風景です。

物価がまだまだ安いミャンマーが経済成長する日を夢見ながら、ミャンマーアートを楽しむというのも一興だと思います。

さて、今回のクリスティーズ香港では、ミャンマー作家は物故作家(亡くなった作家)を中心した組み立てになっていました。現存作家はルン・ジゥェのみの一点でした。ミャンマーのコンテンポラリーは前回までクリスティーズは何回か取り上げてきましたが、単価が50万円以下とクリスティーズの価格帯には見合わないと判断したのか今回は20世紀を代表する作家をセレクトしてきました。

そして、今回唯一のミャンマー現存作家の出品としては、ルン・ジゥェの2003年制作の64x40cmの小さな作品が出品されていました。日本では、68x68cmのシリーズが小さい作品として100万円程度の金額で紹介しているわけですので、今回のエスティメートは、8万香港ドル -10万香港ドル(112万円?140 万 円)と、強気な値付けです。図柄は、ルン・ジゥェには珍しい全裸の女性の作品、なかなか良い作品です。

東南アジアのセールは日曜日の朝10時からと一番人気のない時間帯ですが、今回はベトナム狙いなのか会場には100人以上に人が参加しています。ベトナムセールで大きな盛り上がりを見せ、タイの作家の作品に移るや、半分くらいの人が抜け、会場は50人程度になってしまいました。タイの次にミャンマーに移ります。

物故作家のセールが終わり、ルン・ジゥェの番になりました。いきなり、オークショニアが既に書面ビッドが入っていますからと7万香港ドルからスタートして、エスティメート下限手前の7万5千香港ドルで一息間があった後、前方に座っている中国系らしい太めの中年女性の手が上がりました。8万香港ドルから、あれよあれよと11万ドルにせり上がり、結局は書面ビッドの勝利で、会場の女性の手には入りませんでした。

11万香港ドル、落札された方は、これに25%の手数料を払うことになりますから、137万5千香港ドル、日本円で190万円近くになります。他のミャンマー作家の結果も見てみたいと思います。

落札価格Lot 142 U San Win (1908 ? 1979)  18万香港ドル(252万円, 手数料込315万円)
Lot 143 U Ngwe Gaing (1901 ? 1967)  19万香港ドル(266万円, 手数料込333万円)
Lot 142 U San Win (1908 ? 1979)  15万香港ドル(210万円, 手数料込263万円)
Lot 142 U Ba Kyi Win (1912 ? 2000) 6.5万香港ドル(91万円, 手数料込114万円)
Lot 142 U Lun Gywe (1930 ? )  11万香港ドル(154万円, 手数料込193万円)
Lot 142 U Kin Maung (1910 ? 1983) 不落札

2019年クリスティーズ香港春季オークション結果より)

ベトナムとミャンマーのなんたる格差。経済成長を遂げた国と、これから経済成長を遂げる国とでは、アートの価格がこれほど異なるのです。

しかし、現代では、香港のクリスティーズで取り扱われ、きちんと価格がついて行くという事は、作家にとっても重要な記録となってきます。ほとんどの現存作家がオークションでは価格がつかない中、オークションで値段がつく作家の位置付けは大変重いものがあります。

クリスティーズ・サザビーズの香港にて、ミャンマーを代表する作家として継続的に出品され、落札され、記録に残ってきたミャンマーの国民的な作家のルン・ジゥェ。ミャンマーの経済発展とともに、将来は今回のベトナム作家の競りのようになることを夢見ながら香港をあとにすることとなりました。

第10回 ルン・ジゥェ倶楽部レポート(2019年1月18日配信分)
新年のルン・ジゥェ、夢馳せる初めての日本!

2019年の新年が明け、すでに1月半ばになりましたが、 ヤンゴンに住む、ルン・ジゥェ・ファミリーに新年のご挨拶に行ってまいりました。

ご自宅兼アトリエ・ギャラリースペースにお伺いすると、ルン・ジゥェ・ファミリーからは、いつものように温かくお出迎えをいただき、今回は、ルン・ジゥェご夫妻と一緒にファミリーディナーを共にする栄誉を授かることとなりました。

ルン・ジゥェと共に、ご家族一緒にわいわいと中華とタイ料理をミックスした食事を美味しくいただきました。ルン・ジゥェはモリモリ食欲旺盛で、息子のお嫁さんの準備した料理を、冗談を交えながら話し、楽しい時間を皆で過ごすこととなりました。

今回のルン・ジゥェとのディナーは、今年7月末から開催予定の東京での展覧会と、日本のコレクターとの交流の話題で、大いに盛り上がりました。

ルン・ジゥェは、生まれて88年間、一度も日本を訪問したことがありません。ミャンマーのヤンゴンで育ち、中国や東ドイツに留学し、南アジアには何度も行っているルン・ジゥェですが、日本は初めてなのです。

一昨年は、体調不良で、来日を断念しましたが、今年こそはと、ルン・ジゥェの意気込みはひとかたならぬものがあります。

しかし、昨年末、一緒に日本食レストランでご家族と一緒に鍋をいただいた時は、体調も絶好調でしたが、新年明けて、ルン・ジゥェの体調は一変していました。

冬のヤンゴンといっても気温が28度以上もあるヤンゴンで、寒い寒いとジャケットに毛糸帽子をかぶり、気丈に明るく振舞ってくれるものの、明らかに体調が万全というわけではありませんでした。

88才という高齢ということもありますが、ここ数年で、血管が詰まりかけ、何回かカテーテルでステントを入れて血管を広げたそうです。が、しばしば目眩に苦しめられており、脳の血管も心配だと不安な顔をのぞかせます。

日本の有名なお医者さんをご紹介するご提案をしたりしながら、ルン・ジゥェの興味は、今年8月開催の東京銀座での展覧会に移って行きました。自分の作品を東京のコレクターの皆さんに見てもらうのが嬉しくてたまらないという表情を見せます。

ミャンマーの現存アーティストとして、唯一オークションで値段がしっかりとつく超高名な画家で有りながら、日本のコレクターとの交流を楽しみにして満面笑みを浮かべるルン・ジゥェをみると、この人は真のアーティストだなとしみじみ思います。

突然、ルン・ジゥェは、「ひとつお願いがある」と、真剣な表情を見せながら謙虚な姿勢で話を始めました。

自分の作品を持つ日本のコレクターが、自分の作品を飾ってある場所で、コレクターと一緒に自分の作品の入っている写真をとって、自分に送ってもらいたい。

そうしたら、自分はそのコレクター宛に直接ポストカードを送りたいんだ、ととつとつと語りながら目を輝かせました。ルン・ジゥェから直接のポスカードが届く!なんて面白いアイディアなのでしょう。

自分自身アートコレクターとして、もし、自分の収集しているアーティストから、直接直筆のポストカードが届いたとしたら、なんという光栄!嬉しさに飛び上がります。

もし、いつの日か、万が一、その絵を売るようなことになったとしても、このポストカードを大威張りで見せながら、自分のコレクションした作品についての思いを物語ることができるぞと、いらぬ想像をしたりしてしまいました。

突然、ルン・ジゥェの奥様が、自分は日本のテレビドラマが好きで、「おしん」をよく見る、その中の美しい風景の日本を8月訪問するのが楽しみだと、言われた時には、今の日本は、あの時代の日本とは違うんじゃないか?と一瞬不安がよぎりました。

すると、ルン・ジゥェが、「おしん」は人間のサガを描いている!と一気に本質に迫ってきました。ルン・ジゥェも「おしん」をみている、さすが敬虔な仏教のメンターだけあって、説得力が違いました。

しかし、「おしん」はアジア中に大きな影響を与えたことを改めて実感し瞬間でした。他のアジアの国でも日本というと「おしん」の話題が出てくることがよくあります。沢田研二の妻となった田中裕子も、今や63才と考えると感慨深い思いです。

それにしても、ルン・ジゥェの、この8月の東京での展覧会にかける思いの強さは尋常ではない。3月に台湾での大きな展覧会もありますが、心はもう東京で、その鬼気迫るエネルギーを真っ向に受けて、ルン・ジゥェ宅を後にすることになりました。

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